File 1. Webber Taj Model
翻訳をするかたわら、自分でボードを輸入しては片っ端から乗りまくっています。一発目は、僕が最も好きなボードの一つ、Webber
Taj Modelを紹介します。
シェーパーのグレッグ・ウェバーと言えば、コンケーブの開発者として知られます。また、特にボードのアウトラインやロッカーなどのカーブを絶妙なバランスでブレンドさせるシェーパーとしても知られています。タジ・バロウ、ネーサン・ウェブスター、キーレン・ペローなどのワールドクラスのサーファーをサポートする反面、自分の創設したInsightを売りに出してWebberを立ち上げるなど、マーケティングよりもシェーピング自体に興味があるのでは?と思わせるアーティスティックな一面も見え隠れします。
このボードに乗るタジ・バロウと言えば、とにかくエアをぶちかましまくることで知られていますよね。テイラースティールのCAMPAIGNでも、ファーストカットでエアをかましまくり、ポイントが重視されるWCTの競技中でもかっとびまくっていて、しかも成功率が高い!もちろん、オールラウンダーじゃなければ、2004年のWCT4位という成績はあり得ないのですが、サイズのあまりないジャンクなブラジル大会やUS
Open of Surfing 2004で共に優勝するなど、まるで日本みたいな波のコンディションで力を発揮していることも注目されます。
さて、うんちくはこのくらいにしておいて、実際に乗ってみると、このボードは良い意味でヤバイです!これまで色んなボードに乗りましたが、知名度のある著名なブランドを凌駕するほど調子良いです。こんなに凄いボードなのに海であまり見かけないのは、ホントに不思議です。やはりグレッグ・ウェバーはマーケティングに興味がないのだろうか?と思っちゃいます。貸してあげた友人や、知り合いでWebber(タジ、スタンダード、アフターバーナー)に乗っている人の話の話を聞いても、板への評価は絶大!この事実、ちょっと不思議です。
ボードの形状ですが、レールはミディアムローとかなりシャープに落としてある感じです。レールの形状は、ノーズ側とテール側で特に落としてあり、センター付近で部分的にミディアムくらいの厚みくらいが取ってあります。全体的にはテーパーがかった感じです。ノーズロッカーは平均的なものより若干抑えめ、テールキックは強いです。全体的に薄目のシェープなので、普段US系の比較的ボリュームのある板に乗っている方なら、厚みをワンサイズ上げてちょうど良いくらいかも知れません。
このボードは、テイクオフがメチャメチャ速いです。僕が今まで乗った中では、ラウンドノーズなどの特殊なタイプを除けば最も速いように思います。細めのノーズからは想像しにくいんですが、実際速いので仕方ありません。僕が乗ったのは6'0ですが、捕まえられる波の範囲も広く、小波専用にはかなわないですが、セクションさえあればスネからでもバンバン行けますし、マックスで頭半くらいまで対応します。レイトテイクオフになってしまった時のバランスも絶妙で、他の板だったら放り投げられちゃうかな〜?と思えるところからでもスコーンと走っていけたりします。トップスピードもチャンネルボトムなどの特殊なものを除けば、かなり速い部類に入ると思います。
よく、コンケーブを深くするとスピードが上がるように思われがちですが、タジモデルのコンケーブは、決して深い方ではありません。僕が知っている中では、アルメリックが比較的深くコンケーブを入れている方だと思うのですが、アルに比較しても決して深くはないです。ですが、テイクオフもスピードもかなり速い方に入ります。サーフボードを買うときに、実物を見てから買え、という人もいますが、僕は全くそうは思いません。これまでも輸入したボードを乗る都合上、ほとんど全く実物は見ないで買いましたが、コンケーブの深さと板の速さは必ずしも比例しませんでしたし、見た目に調子良さそうでも、乗ってみると大した事ない板もありました。シェーパーのシークレットなんて、きっとぱっと見じゃ分からないものなんだと思います。
動きの良さとシャープさもこの板の特徴です。あまりホメ過ぎるとウソっぽく聞こえるかも知れませんが、縦にもスパッと鋭角に入りますし、レールの切り返しも早いです。ターンのフィーリングも、スルスルと回ってしまう感じではなく、キレるフィーリングで、どれを取っても文句の付けようがないくらい良く動きます。普通は動きは良いけどテイクオフは遅かったりして、どこかを腕でカバーしてやらないといけない板が多いのですが、この板は全てバランス良く達成していると思います。
ボードのアウトラインは本当に絶妙で、大きなカービングと鋭角なターンのどちらにも対応し、どちらにも優れた性能を発揮します。動きも機敏で、急激にラインを変更しなければならない場合でも、即座に反応してくれます。
レールを入れやすく、板を寝かしこみやすいということも言えます。テイクオフ直後から自然にレールをスッと入れられて、ボトムで距離をかせぐ場合は、レールの前側に体重を乗せてグッと倒し込んでやればドライブの効いたカービングができますし、上にあがりたい場合は、差し込んだレールを素早く抜いて板の反発を生かしてやり、前足でノーズをリードしてやれば一気に上に向きます。扱い方次第で動きの幅が本当に広がります。
ただ、テールの厚みが薄いのと、スカッシュの幅が平均的な板よりも狭い(絞り込みがきつい)ので、典型的なフロントフッターか、やや前足重視のナチュラルフッターに適しているように思います。バックフッターの人が乗ると、テールのスタビリティーが足りなくなり、不安定な印象を受けると思います。逆にフロントフッターの人なら、特にテールを意識しなくても前足の荷重とリードだけでバンバン動きます。僕が今までに乗った中では、最もフロントフッターに適したボードです。直進するなら荷重のほとんどを前に預けてしまうくらいでちょうど良く、ターン時は、前側のレールを使うだけである程度のにカービングはでき、素早くスナップしたり急激に回したいときだけテールキックを使えば良いくらいの感じです。
おそらく、自分で板を動かせる量が多い上級者ほど、小さなフィンではルース過ぎて物足りなくなり、より大きなフィンで調子良く感じられると思います。それくらいルースな板なので、パワー系の人でもやや物足りなく感じる可能性はあるかも知れません。
余談ですが、このボードに乗ってからサーフテックのWebberも試してみました。結果としては、あくまで個人的な感想ですが、僕はノーマルの方が調子良いと思います。STは浮力が強すぎてレールの入りが浅くなり、どうしてもシャカシャカした動きになってしまいます。最も体重が重い人が乗れば、また違った感じなのかもしれません。あとは、STは板が硬く、しなりません。これもSTに乗るまでは全く気付かなかったことなんですが、普通の板はターンの時に適度にしなっていて、それがポケットでのフィット感とか、ジャンクのときの振動の吸収性なんかにうまく機能しているんだなーと感じます。特にボトムで強く踏み込むタイプのライダーでは、あの硬さが合わないと感じる人もいると思います。
STの欠点の一つは、踏み込んだ後、板が反発する速度が速すぎる点です。そのため、深く、かつ長くレールを差し込んで、デカいスプレーを飛ばすには適さず、どちらかと言えばパンチのないライディングになってしまう傾向があります。プロライダーがコンテストでサーフテックを使わないのは、そのためかも知れません。特にWebberの板は、ノーマルで十分にテイクオフもトップスピードも速いので、STにするメリットはあまり感じられません。強度は確かにSTの方がありますが、それでもそれなりに乗り込めばリペアが必要になる破損も生じます。そのときに、市販のスプレーではカラーが合わないということもあります。最も板は飾り物じゃないので、僕は気にしません。格好良い板に乗っていても、所詮ライディングがイケてないサーファーはイケてないです。リペア自体は、ペインティングを除けば非常に簡単で、エポキシの方がサンディングは容易です。
板自体の軽さは驚異的で、シングルクロスの超軽量仕様よりも軽いです。なので、いまにも崩れそうなヤバイセクションでも、当てに行ってみると意外に間に合っちゃったりします。この辺のレスポンスの鋭さは目を見張るものがあります。ただし!このあたりは板の基本性能に依存する部分もあります。全てのSTでテイクオフが早くレスポンスが鋭いわけではないので、あまり先入観は持たない方が良いかも知れません。
浮力の点で見ると、サーフテックの板は、基本的に日本人の平均的な体重の人を対象には作られていないと思います。僕の体重が60kgですが、アメリカで60kgというと着られる服はSかXSで、言ってみれば、ティーンエイジャーの体格です。サーフテックは既成のサイズでしか作られませんから、こうした軽量の人にターゲットを合わせているようには思えません。ですから、ある程度ウェイトのある人が乗られた方が、調子良いのかも知れません。WebberのノーマルとSTで比較すると、厚みが2
1/4のノーマルよりも、2 1/8のSTの方が浮力が強いです。つまり、STはノーマルを3サイズ程度厚くした浮力に匹敵することになります。なので、この浮力がフィットするかどうかが選択のポイントになるかもしれません。
今後もSTの契約シェーパーや契約ライダーは増えるでしょう。何と言ってもシェーピングをしないでライセンス料が入るのは魅力的ですし、コンテスト収入だけでは十分でないライダーにのっても魅力的な話です。
僕個人にしてみれば、自分のベストボードにはなり得ない感じですが、本気モードじゃなければ全然許容範囲です。というか中には結構楽しい板が沢山ありますので、興味がある人は乗ってみることをお勧めします。人の話だけで決めつけるのは良くないし、なんでも自分で経験しなければ分かりませんから。
話がだいぶそれてしまいましたが、今後、Afterburnerなどのモデルも面白そうなので、試してみる予定です。アフターバーナーは小波ボードの印象が強いですが、実際乗った人の話ですと、オールラウンドに調子が良くマックスでダブルまで行けたらしいのです。また、乗ったときにコメントしたいと思います。
今後も乗った板の感想をバンバンアップします。ただフィーリングに合う合わないは絶対にあると思うので、自分のスタンスやスタイルと照らし合わせて読んでくださいね。買ってから僕のせいにしたりしないでくださいよ。自業自得でお願いします!(^-^)V
(2005/1/24)
最近、今年モデルのタジを見る機会がありました。ロッカーはノーズ・テール共に去年より弱くなっているようです。それから、若干板のボリュームが増したように見受けられます。
それから、スピード性について誤解を与えないようにお伝えしたいと思います。上に書いたようにタジモデルのスピード性はかなり良好ですが、タジモデルを上回るスピード性を持つ板は他にもあります。スピードだけに重点を置いて、とにかく速い板が欲しいという人は、他に選択肢があると思っていただいて良いと思います。
(2005/7/26)
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