File 2. DHD Standard

今回はDHDのスタンダードモデル(AUS仕様)を紹介します。利用の心得は読みましたか?このHPはプライベートなものなので思ったことは何でも書きます。「じゃあ、行くわよ。言っても良い?(細木数子風)」
DHDと言えば、「世界最速」の呼び声も高く、ミック・ファニングやジョエル・パーキンソン(2004年WCT2位)など、ブチ切れたサーファーが乗ることで知られます。日本での評判も高く、一度は乗りたいボードの一つでした。長いこと気になっていたボードだったのですが、数ヶ月前にやっと実際に乗ることが出来ました。
以前、ヤフオクに出品されているDHDの説明で、「このボードはボトムの水の流れが早く、パドルとテイクオフが楽です」みたいに書いてありました。どうも嘘くさいな〜とは思っていたんですが、実際に乗ってみて、やはり特にパドルやテイクオフが楽だったりはせず、このボードの優れた点は、それ以外のもっと違ったところにあると感じました。きっと、乗ったこともない人が「世界最速」の評判から、無理矢理そのような説明を書いたのでしょう。ヤフオクは格安ボードの天国ですが、売る気満々の出品者が受け売りの知識で出品する場合があるので注意が必要です。
さて、パドルとテイクオフについて特に楽だったりはしない、と書きましたが、かと言って特にパドルとテイクオフが不利か?と言えば全くそんなことはありません。DHDは典型的なAUS系の板同様、ボード全体のボリュームが薄くシャープに作られています。これは僕の経験ですが、ボリュームが厚く浮力が強いタイプの板は、それなりにパドルを助けてくれますが、テイクオフ時のようにここ一発の加速が欲しいときや、波のピークが自分の正面に入ってくれず、ピークを追いかけて左右に素早くパドルしたいときなどは、むしろ漕ぎ出しが重く感じられます。逆に薄い板の方が漕ぎ出しに対するレスポンスは早く、パドルスピードがトップスピードに乗るまでの速度は、こちらの方が早い場合が多いです。
DHDもそんなタイプのボードの一つです。どちらが良いか、というのは人それぞれだと思いますが、立ってからの動きを重視するなら、薄い板に乗った方が面白いかも知れません。

それから、この手のちゃんとロッカーが付いていて、薄めの板は、テクニック次第で十分に早いテイクオフができることもお伝えしたいと思います。「テイクオフにテクニックなんてあるんかい?テイクオフが楽な板に乗った方が良いに決まってるよ!」という人もいるかも知れませんが、比較的ロッカーの強い板に乗っていても、テイクオフの早い人は沢山います。テイクオフが上手くなると、逆にロッカーを抑えたフラットな乗り味のボードが嫌になっちゃったりします。
これは僕の実際の経験なのですが、今から4年くらい前に乗った海外シェーパーの日本仕様の板は、ロッカーが抑えてあってテイクオフは早かったのですが、曲がらない板でした。ロッカーはサーフボードにとって、とても重要なアウトラインの一つで水に対してダイレクトに影響する部分なので、単にテイクオフを早くするためにフラットにしちゃって良いんだろうか?という疑問があります。逆にテイクオフをテクニックでカバーできるなら、立ってから面白い板に乗った方が楽しめるんじゃないだろうか?と僕は思います。
よく、小波スペシャル的なボードでフラットなロッカーが採用されています。中には弾丸のように速い板もあるので、シチュエーションによってはかなり面白いものもあるのですが、残念なのはフラットなロッカーに対してバランスを取るためにウィングやフィッシュテールなどのテールを採用して、無理矢理ルースにスルスルと回転するように作ってある点です。この手の板はイージーに走れて回れる反面、切れるようなシャープなカービングやパンチのあるリッピングがしにくいということがあります。また、きちんとした体重移動が出来ていない人でも、レールを使わないで、テールのルース性だけでクルクル回ってしまえるので、本人がそれで良ければ良いんですが、ハタから見ていると格好悪いかも知れません。まずはスタンダードな板で腕を磨いて、こうした板はセカンドボードとして楽しむのが良いんじゃないでしょうか?
それから、よく「日本の波に合わせてロッカーを下げてレールをボキシーにした」という板をオークションで見ます。それはもうDHDじゃないんじゃない?そんな板に乗るんなら、そういった性格の板が他のシェーパーから出ているので、そっちを買った方が良いんじゃないだろうか?と僕なんかは思ってしまいます。そう言ったタイプの板は、アメリカ系のシェーパーが比較的得意としていますが、ダレン・ハンドリーが最も得意とする性格の板ではない気がします。DHDのカービングの性格、レールの差し込み具合が変わっちゃったら、僕的には面白くない気がします。
ちなみに僕が乗ったDHDはAUS仕様です。近所のショップで日本の代理店が供給するジャパンモデルも見ましたが、「レールをボキシーにした」と書いてある割には、ぜんぜんボキシーじゃないです。実物を見られない人に説明するのは難しいのですが、おそらく、普通一般のボードで言うミディアム、またはヘタするとミディアムローくらいの部類に入ると思います。ロッカーもちゃんと付いていて、全くボッテリした感じはなかったです。
「世界最速かどうか?」という点について、僕なりに検討してみたいと思います。僕の乗ったDHDは、決して何もしないでインスタントに加速するタイプの板ではありませんでした。スピード性が高い板は、他にも沢山あります。では、遅い板なのか?というとそういうことでもありません。
結論から言うと、世界最速のサーファーが乗ったら、世界最速の板なんじゃないだろうか?というのが僕の感想です。とにかく立ってからの動きが絶好調で、メチャメチャ動かしやすい部類に入ると思います。反応も良好、レールの抜き差しもしやすく、ポンピングやアップスでグングン加速します。板が勝手に走ってくれるんじゃなくて、加速してやる動作に対してレスポンス良く加速してくれるという感じです。先ほどのテイクオフの説明同様、僕的にはとても好感が持てます。ボードが勝手に走ってくれるけど、力の入力に対しては鈍い板よりも、生かすも殺すも乗り手次第という板の方が、乗りこなしがいがあるし、上達の助けにもなってくれると思います。
それ以外の性能について、僕なりにコメントします。これまでに乗った色々なボードと比較してみると、DHDというと、ワイルドなロゴ、ミックの弾けたライディングなどから、過激な性格の板なんじゃないだろうか?と想像する人が多いかもしれませんが、サーファーの動きに対してサーフボードが示す反応は極めてニュートラルで、とても素直です。どこかに極端なリアクションや癖のようなものが出たりすることがありません。
乗ってワンターンしてみると、ホントにバランスが良い板だと感じます。サーフボードはボリュームやアウトライン、ロッカーなどの要素が絡み合っていて、どこか一つが決定的な要因になることはないと思うのですが、とにかくバランスが良いというのは感じられます。またサーフィンの動作自体をとっても、前後、左右、上下の動きが複合されているので、何がどのようにバランスが良いかは説明するのが難しいんですが、一言でいうと、動かしやすい、ということになるのかも知れません。とにかく、とてもサーファーの動きについてよく計算された板だと思います。矛盾を恐れず、強いて言うなら、均等にバランス良く削がれたノーズとテールの厚み、ワイドポイント(板の最も幅広の部分)の位置なんかが絶妙なのかもしれません。板の動かしやすさを重視するサーファーなら、一発で好きになってしまうかも知れません。それも、小波スペシャルのような、力なくスルスルと動いちゃう感じではなく、レールを使ったショートボードらしい動きの良さを求める人に適しているように思います。
良いボード=テイクオフが早い、とか、=ルースに回る、とか単純な図式で結論付けるのはどうかな?と僕は思います。この板に関して言えば、特に実力以上にサーファーを上手く見せたりはしてくれないけど、実力があれば、かなり高い要求にも応えてくれる板なんじゃないかと思います。とは言え、僕は上級者オンリーの板だとは思いません。むしろ自分の技で上手くなりたい人が、こんなタイプの板に乗ったら良い訓練になるんじゃないかと思います。ごまかしは効かないけど、反応は素晴らしいです。マジックボードの定義は人によりますが、本当に格好良いサーファーは、こんな板を自由自在に乗りこなしている人かも知れませんね。
ただ、DHDに乗ったことのある色々な人の話を聞いてみると、強く踏み込むタイプの人やバックフッターの人では、若干スタビリティーが足りなかったりパンチ力に欠けると感じる人もいるようです。ただ、スタンスの問題はどのボードにもついて回ることなので、特にこのボードに固有の問題ということではないと思います。数あるボードの中でも、かなり癖がないタイプの板だということは言えるかと思います。また、アメリカ系の比較的ボリュームが大きいタイプの板に慣れてしまっていると、乗り味が軽く感じられるかも知れません。
さあ、File 1.に引き続き、またまたウンチクしちゃいましたが、僕的にはヤフオクでたまに見かけるうさんくさ〜い説明がどうにも信用ならないので、このHPを訪れる人には、思った通りのことを書いちゃおうと思いました。極度にパドル力が弱い人や、自分で上達して板を走らせるよりも、何もしないで板に走ってもらう方が良いという人じゃなければ、数あるボードの中でも素晴らしいボードの一つなのですが、パドルが楽だとかテイクオフが早いとかいうのを期待するのは、ちょっと検討違いじゃないかと思います。それから、腕がないのを板のせいにする人もやめておいた方が良いでしょう。
さ〜て、これからも色んなボードを独断と偏見でメッタ切りにしますので、楽しみにしていてくださいね。利用の心得にもありますが、クレームは一切受けませんので、そのつもりで!
(2005/1/28)
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