File 5. Rusty CJ Model

以前から気になっていたラスティーのCJホブグッドモデルに乗りました。CJは2001年のワールドチャンピオンですが、2004年にもタヒチのビラボンプロで優勝、部原で行われたクイックシルバープロでも劇的な逆転優勝を決めて、昨期の総合ランキングでは4位と好調です。個人的にCJのスタイルが好きで、いつか乗ってみたいと思っていました。

ラスティーはアメリカのカリフォルニアにありますが、今回乗ったのは、オーストラリアでシェープされたものです。USもの、AUSもの、賛否両論あるようですが、僕は調子さえ良ければどこで削られたものかは全く気にしません。今回乗ったものも十分に調子良かったので、何の問題も感じませんでした。

この板に興味を持ったのは、CJが乗っている板ということもありますが、それ以外にも、とっても興味深い点がありました。一つは、センターのワイドポイントが4インチもテール寄りに設定されており、ヒップが強調されたデザインであることでした。4インチと言えば約10センチにもなります。それがどんな効果を生むのか、どんなライディングスタイルが適しているのかがとても興味がありました。もう一つは、CJが好んで乗るというエリプティカル(長円形)テールがどんなテールなのか、ということでした。

ざっと板を眺めたり、各部を測ったりしてみると、色々な特徴が分かってきます。ノーズロッカーは、かなり抑えめで、逆にテールキックは強いです。微妙に強めとか弱めとかではなく、ハッキリと見て取れるくらいノーズが抑えてあり、テールも強く反っています。

一般にノーズロッカーが弱い板は波のピックアップが早く、テイクオフが早いものが多いですが、CJモデルの場合は、いわゆる小波ボードのように幅広のノーズではなく、平均的なノーズ幅になっています。平均的と言っても、ワイドポイントが後ろ寄りに設定されていることで、見た目は上はかなり細めのノーズに見えます。

今回、オーダーしたエリプティカルテールとは、俗にサム(親指形)テールと呼ばれるものと同じであるようです。と言っても、サムテール自体ポピュラーなデザインではないので、良く分からない方も多いと思います。実際には、ラウンドテールの一種と考えていただいて良いかと思うんですが、一般にラウンドと呼ばれているものよりテール先端に向けての絞り込みがきつく、ラウンドよりも小さな半円でテールブロックが構成されています。

ボトムはシングルコンケーブのように見受けられますが、センターからテールにかけてが、非常に深くなっています。

レールはミディアムです。もう何年も前になりますが、以前ラスティーのボードを見たときには、比較的ふっくらしたボリュームの大きいボードのように見えました。ですが、今回届いたCJモデルを見る限り、ノーズもテールも比較的シャープな感じに仕上がっていました。これがAUS系シェーパーの手によってタッチアップされたことによる影響なのか、最近のラスティーの傾向なのかは分かりません。いずれにしても、すっきりと仕上がっていて、なかなか好感が持てます。

それから、板がとっても白いです。これはブランクスの白さではなく、白ブラシを吹いてあるんだと思います。とても綺麗ですし、長期間使用しても焼けにくいかも知れません。

さて、ライディングのインプレですが、非常にクィックでキビキビと動いてくれます。個人的な好みもありますが、僕的にはとても楽める板でした。

テイクオフでは、低いノーズロッカーが良く反応してくれて、滑り出しは極めて良好です。力のない風波などでもパワーをうまくキャッチして走り出してくれます。このロッカーで小波ボードのように幅広にしてしまうと、テイクオフはかなり早くなりますが、今度は板が水面にベタッと貼り付いたようにような動きになり、ノーズが重く感じられたりしますから、ノーズ幅を狭く取ってあることは、かえって好感が持てます。

以前、アルメリックのMBMに乗る知人から、ノーズロッカーが弱くテイクオフが早いのに刺さらない、と聞いたことがあります。僕はMBMには乗ったことがありませんが、この板も抑えたノーズロッカーにも関わらず、パーリングの心配なく突っ込める感じがあります。ただし、ワイドポイントが4インチも後退しているので、前足を前方にセットしすぎると、ボトムでの踏み込みでノーズが刺さりやすくなるので注意が必要です。

ターンも非常にクイックで、小さな半径で鋭く回ってくれます。うまくポケットに入れば、ボトムターンからかなり鋭角にトップに持って行くことも可能です。トップでの返しも非常にクイックで、比較的軽い入力でも鋭く動きますし、大きめの体重移動や強めの蹴りこみなどで、さらに強く回し込むこともできます。

とにかく、この板について、最も優れた部分の一つが、このクイックな回転性だと思います。ワイドポイントが後退していることで、理論的には、テールのカーブが、より短い区間で一気に絞り込まれていることになります。よりタイトなアークで回転するこの板の性格は、どうやら強いテールキックと、このへんのアウトラインが関係していそうです。

エリプティカルテールは、波への噛みつきがラウンドテールよりも強く、ピンポイントでタイトに回ってくれます。それでいてラウンドスカッシュのように一方のブロックにひっかけて回すような感じではなく、比較的スムーズです。トップでの動きは非常にルースですが、どちらかと言えば、ズレる感じよりも、キレる感じに近いです。

レールの入れやすさもとても良好です。同じCJモデルでもラウンドスカッシュにすると、また違ったフィーリングになるのかも知れませんが、エリプティカルテールのCJモデルは、板を寝かしこむと、レールもスッと入っていきます。僕がこれまでに乗った板の中でも、レールが入れやすく、レールトゥレールの切り返しも早い方に入ると思います。とにかく、取り回しは軽快です。

パワー系のサーファーや、比較的板の前方に乗るサーファーは、逆にフロント側のレールを入れすぎないように気をつけなければならないかも知れません。ワイドポイントが後退していることで、ノーズ側のボリュームは逆に少なくなっています。前足への入力を過剰にかけ過ぎると、ノーズが刺さり気味になることがあります。

どの板にも、多かれ少なかれ癖のようなものがありますが、僕がこの板に乗ってみて最も調子良かったスタイルは、乗り位置は後ろ寄り、荷重は前、という感じでした。ワイドポイントが後退しているので、前に乗り過ぎるのは明らかに問題があります。とは言え、重心まで後ろに引いてしまうと、十分な加速性が得られなくなります。立ち位置を後ろにすることで、板の回転性をフルに引き出せますし、前に加重することでドライブ性も得られます。イメージとしては、両足でがっちり踏ん張ってしまうのではなく、引き気味にセットした前足に全体重をあずけて、後ろ足はそえるだけにし、板への荷重を一点に集中させるような感じです。

ワイドポイントの設定によって板のボリュームが後ろ寄りになっているとは言え、エリプティカルテールのブロックが小さく、テール先端にかけてのボリュームは少なくなっています。後ろ足にまでがっちりと荷重をかけてしまうと、テールの沈み込みが大きくなり過ぎてしまいます。しかも強めのテールキックの上に体重をかけると、ノーズも浮いてしまいます。ですから、立ち位置は後ろであっても、荷重は前にしてやった方が、板のボトム面を綺麗に波面に合わせることができます。

また、こうすることで、ターンの後半など、必要なときにのみテールが反応し、強めのテールロッカーを使っていないときと使っているときの落差をフルに生かすことができます。テールの絞り込みと言い、テールキックと言い、非常に鋭い反応をしてくれるデザインであることは間違いないのですが、はじめからテールにどっしり構えてしまうと、板がフラフラと不安定になり、しかもドライブ性もスピード性も十分に発揮できないという結果になってしまいます。

また、このスタイルには、必然的にスタンスがコンパクトになる、という利点もあります。スタンスさえ決まれば、ポケットでタイトに回ってくれます。うまく行ったときの板がトップに上がるスピードと角度はヤバイです。この板の全てのデザインが、このポケットでの動きのためにあるんじゃないかと思うほど、鋭角にスパッと入ります。トップでの板の返しも非常に早く、タイトにクルッと回ります。

この板には良好なスピード性がありますが、板が前へ前へと進もうとするときは、特に桁外れのスピードを持っているわけではありません。抑えたノーズロッカーによって波のピックアップは早いものの、トップスピードは、テイクオフの早さに比例するわけではないようです。ですが、ボトムからトップへの縦のスピードには目を見張るものがあります。ボトムターンにしてもトップターンにしても、とにかく、より角度を付けて縦へ入っていくときの動きの良さは素晴らしいものがあります。

鋭いカットバックを入れるような動きも得意で、とにかくクィックに動きたいライダーの要求には十分に応えてくれる板だと思います。ラインの自由度が大きく、風波の変わりやすいセクションにも対応できますし、ポケットさえあれば素早く当て込めるので、あまり条件の良くない波でサーフすることが多い人でも楽しめるモデルのように思います。これは推測ですが、同じCJモデルでも、スピード性を重視するならラウンドスカッシュがベターかも知れません。よりタイトな反応をしてくれるのはエリプティカルの方だと思います。

最近、アルメリックもクイックでパンチのある後ろ足重視のサーフィンを意図して、ワイドポイントを後ろ寄りに下げたFIVEというモデルを出しました。WCTを見ていても、前足への荷重や踏み込みをうまく生かしながらも、部分部分でテールへの強烈な蹴りこみを入れるサーファーは以前よりも増えている気がします。今後も、バックフッター的な要素を重視した板というのは、色々なシェーパーから出てくるでしょうし、一つの太い流れとして確立されそうな感じがあります。

ラスティーCJモデルは、ワイドポイントが後退していると言っても、実は特にバックフッター的なライディングが要求される板ではありません。むしろ、フロントフッターの人がやや立ち位置を後ろにして乗った方が調子良いかも知れません。テール先端のボリュームが大きくないこともありますが、テールへの入力がそれほど大きくなくても十分に動いてくれるデザインになっています。

色々な板に乗っていますが、板が与えてくれる新鮮な感覚にはいつも驚かされます。どの板もそれぞれマッチするスタイルが異なり、大抵は、どの板からも学ぶことがあったりします。CJモデルは、そんな風に乗りながらスタイルを探すのが楽しく、また決まったときの動きは気持ち良いものがあります。板から乗り方を教えてもらって、しかもスタンスまでタイトに矯正してもらえるなんて、願ってもないことです。

ラスティーのチームライダーは全員、PROJECTというモデルを微妙にアレンジした板に乗っているとのことですから、このCJモデルもPROJECTのバリエーションの一つということになります。CJモデルから察するに、PROJECTにも十分に期待が持てそうです。

(2005/3/31)

 

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