File 14. Al Merrick MX
掲示板にMXについてのお問い合わせがありました。ちょうど良い機会ですので、ここでご紹介しちゃおうと思います。
MXについては、Channel
Islandsの公式HPで、アルが「MX is not gonna go away any time soon.(MXはそう簡単になくなったりはしないよ)」と言っているのが印象的です。これだけ長く存続しているMXが、そこまで支持される理由は何なんでしょうか?というのは、僕以外の人にとっても気になるところではないでしょうか?
MXについては、これまでにメールなどでいくつかのフィードバックをいただきましたが、すごく良いという人と、あまり良くなかったという人と、様々でした。そんなMXに乗ってみようと思った直接のきっかけは、近所の熟練サーファーさんでした。
たまに海でお会いする、このフレンドリーな年輩サーファーさんがMXに乗っていて、聞けばMXばかり何本も乗り継いでいると言います。この人のサーフィンには、ハデさはありませんが、ラインが大きく、後ろから見ているとジュバッと大きなスプレーが飛びます。特にすごいのは、この人のテイクオフの上手さです。タルめの波でも小波でも胸を低く伏せて波をキャッチし、かなりの確率で乗って行ってしまいます。ここまでの人は、そう多くは見ません。パドル力の強いパワフルな若いサーファーでも、テイクオフでこの人に勝つのは難しいんじゃないだろうか?と思われるほどです。
そんなわけで、ほんじゃMXを試してやろうじゃん!ということになったのですが、一発目はスネ〜ヒザの小波で行きました。僕はどんなボードもこんな波で乗ってみます。板の特性をつかむのは、意外にもやりやすいからです。第一印象ですが、正直、「この板、ダメなんじゃねぇか?」と感じました。走らず、走り出してからも遅く、非常にネガティブな印象です。テイクオフも遅く、動き的にも回るは回りますが、どことなく力なくキレのないテイストです。やはりMXは時代遅れのデザインなんだろうか?という考えが頭をよぎります。
MXは、この日以来、しばらくお蔵入りしました。良い板は、ダメダメな波でもある程度、ポテンシャルの片鱗のようなものは見せてくれるもの、という偏見が僕にはあったのですが、この日のMXには、何も感じませんでした。楽しい思いをするためにサーフィンしてるのに、楽しくなかったらサーフィンしてる意味がありません。つまらない板で時間を無駄にするのは大嫌いです。
ところが、その後、1ヶ月以上経ってから、気まぐれに頭くらいの掘れたブレイクにMXを持ち込んでみたところ、ナント!乗ってビックリ!MXが非常に速いのです。テイクオフこそそれほど早くはありませんが、立ってからは非常に調子良いです。テイクオフ自体も、小波で使ったときほど悪くはなく、決して早くはないものの、普通に許容値な感じです。
そしてまたまたビックリだったのが、ポケットでの動きです。前足によるリードだけでも非常にタイトに回り、ギュイーンと縦に上がります。この縦への入り方はハンパじゃなく、他の回転性の高い板でもなかなかこうは行かないんじゃないだろうか?と思えるほどです。回転半径が小さいだけでなく、ボトムからの強い突き上げを感じます。いわゆる、ノーズだけがスルッと向きを変えた状態ではなく、ちゃんと上に向かって飛び出して行きます。トップでの回転も非常に早く、スパッと回ります。また小波でのテストとは対照的に、メリハリやしっかりとしたキレも感じられます。
取り回しの面でも、良好なフィーリングを得ました。狙ったポイントに板を持って行きやすく、変化するセクションに合わせてトリミングを入れたりするのもスムーズです。意のままに、と言ったら言い過ぎかも知れませんが、かなり調子良く自由に動いてくれます。MBMのインプレでご紹介したフォーギビングなテイストが、この板にも感じられます。特に板の前方はルース性がやや高く、トリミングのしやすさや回転の速さにつながっているのでは?と推測されます。後方にはある程度のグリップ力があるので、m4のようなスケートっぽい感じではありません。
小波とパワーのある波で、ここまで印象が変わる板も、本当に珍しいと思います。危うくポテンシャルを体感できないまま手放してしまうところでしたが、この日はすっかりヤラレてしまいました。この間に僕に口頭でMXの調子良さを聞いて来た方々、本当にごめんなさい。ダメだな。遅いな。と数々のダメだしをしてしまいました。MXは波が小さいとご機嫌斜めで、まるでやる気を出してくれない板ですが、いったんある程度までサイズが上がるとビンビンに動いてくれて、本当に楽しい板です。対照的な様々なフィードバックをいただくのは、たぶん、このためだろうと思います。
板のアウトラインですが、ノーズのフリップ(返し)が弱いのでノーズロッカーは弱く見えますが、実際には見た目ほど弱いロッカーではなく、全体としてはある程度のロッカーがあるようです。キックはしっかりとやや強めに付いています。テールブロックはやや広めに見えます。コンケーブはさほど深くないシングルで、フィン付近で浅いダブルコンケーブになっているようです。
そんなわけで、小波用ボードとの使い分けができたり、普段からパワーのある波で乗れる人にはお勧めできますが、普段からパワーのないエリアでオールラウンドで使おうとする人には、ちょっとどうかな?といった感じでしょうか。このあたりの条件をクリアできる方にとっては、もしかしたら相当に楽しい板になってくれるかも知れません。
具体的にどのくらいのサイズかあったら調子良く行けるのか?というのは微妙なところですが、コンパクトであっても波質が良ければそれなりに活躍できるかも知れません。強いて言うなら少なくとも腰〜腹以上で押してくれる波か、できれば胸〜頭くらいで乗るのがベターかも知れません。アルの中でオーバーヘッド用の長めの一本を作りたい方なんかは、MXで作ってみるのも面白いと思います。希にですが、小さくてもとても掘れている速い波があったりしますが、そういった波ならサイズを問わず、楽しく乗れるかも知れません。
色々なところで情報を仕入れていると、MXはアルの代表作だ!みたいな印象を持ってしまう方もいるか知れませんね。ただちょっと注意していただきたいのは、確かに代表作の一つだし、調子も良いんですが、オールラウンダーではないような気がします。やはり、用法・用量を守って、正しく服用されるのがベターではないでしょうか。
それにしても、決してコンディションが良いとは言えない波でもMX一本でバンバン乗って行っちゃうあの熟練サーファーさんは、一体何なんでしょうか?まるで仙人のようですが、上手い人というのはいるものなんだな〜と感心させられますね。
この人は、見た感じ、テイクオフの時の胸の伏せ方がハンパじゃなく低いです。しかもその低い姿勢を長く持続したまま走って行きます。ノーズのフリップが強くないMXであそこまで刺さるか刺さらないかのギリギリのところまで落とし込むのは割と難しいように思います。一瞬だけなら思い切って落とすことはできると思うんですが、ずーっとその状態で面に合わせて落としていくのは、かなり巧みなテクニックなんじゃないかと、そんな風に思います。
あ。そうそう。この人はバタ足も多用します。バタ足はあまり効果がハッキリと出ない波もありますが、出る波では本当にパワフルです。テイクオフのタイミングがワンテンポ早くなったり、捕まえにくい波を捕まえられたりします。それによってフォームが崩れたり腕の力が入らなくなったりするようでは、やらない方が良いかも知れませんが、上手く駆使することで波をキャッチする確率を高めてくれるので、お勧めです。ショートボードの場合、テールよりも後方に両足が出ていますから、キックすることでサーフボードの長さ以上の浮力を、テールブロックよりもさらに後方に作り出すことができます。ですので、波の傾斜に持ち上げられる前に水面をたたき始め、足の甲をボードのテールが届かない(テールにまだ差し掛かっていない)傾斜部分に当てることで最大の効果を発揮できると思います。
さてさて、2006年も、皆さんも色々とやっちゃってみてくださいね。
(2006/1/13)
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