静かなるリッピング

ヤマハのパスってご存じですか?僕が海に出陣するときに愛用している電動アシスト自転車です。基本はペダルなんですが、同時にモーターが後押ししてくれるのでとても楽だし、ママチャリとは思えないくらい速いです。

うちからそう遠くないところに「ダイクマ」というディスカウントストアがあります。CMが全国ネットで流れているかどうか定かではありませんが、パンチのある男性のしゃがれ声で「ダイナミック!ダイクマァ〜!」と叫ぶアレですね。もう3年以上前になると思います。そのダイクマでこのパスを試乗したときは、楽しくて楽しくて、思わずダイクマの周りを全開で爆走してしまいました。満面の笑みで爆走する姿に、妻からは「子供のように嬉しそうだった」と言われました。そんな風にして、パスは我が家の一員として迎えられたのでした。

そんなパスですが、時として子供を保育園に送り迎えする送迎マシーンに変身します。ですから、ハンドルと後部の荷台には、それぞれ幼児用のイスが装着されています。そしてもちろん、サイドにはサーフボード用のラックが備えられています。

そんな重装備のパスで、僕は海へと向かいます。

 

ハンドルに掛けられたイスは簡単に脱着可能ですが、僕は外しません。海へ行く時も、買い物に行く時も、例え使わなくても外しません。なぜなら、普段外して使っていると、いざ保育園に迎えに行く時に、装着を忘れて子供達を迎えに行ってしまうことがあるからです。

そうすると、片腕でチビッコをがっちりと抱きかかえ、片手でハンドルを操作しなければなりません。もちろん、ブレーキも片方しか使えません。そんな乗り方で大人一人に、子供二人、場合によっては背中にもう一人の重量を支えながら走るのは、危険ですらあります。

だから我が家のパスは、いつでもフル装備です。今日もそんなパスにサーフボードを乗せて、海へと急ぎます。上の写真は、ビーチに到着する直前の国道134号をくぐるトンネルです。ここを通過すれば、そこは、あたり一面、ブレイクが点在する湘南海岸です。

手前に写っているT字状の黒い物体は子供用のハンドルです。小物入れのビニール袋もスピードでブワっと膨らんでいるのが分かると思います。

ジャンクな風波が多いここ湘南でも、事前に入手した情報から、サーフ可能な波が立っていることが分かると、心なしかペダルも軽くなります。「今日はいったいどんなブレイクが待っていてくれるんだろう?」そんな期待を胸にペダルを回します。そして、トンネルの入口から坂を下るとき、僕のハートも自転車のスピードに合わせるようにマックスに達します。

郷ひろみ的に言ってみれば、松田聖子からの電話を受けて噴出したアドレナリンが、血液の中でお嫁サンバを踊り出したように、僕の頭の中でも、空想上のサーファー「ゴーゴー君」がシュポーン、シュポーンとリッピングを開始します。

今日の湘南は、ジャンクなよれたブレイクでしたが、それでもそれなりに楽しむことが出来ました。

心の中のゴーゴー君がサーフィンへの探求心を失わない限り、僕のサーフィンも終わりません。どうでしょう?皆さんのゴーゴー君は今日も元気いっぱいリッピングしてますか?それとも、お嫁サンバを踊ってますか?

どちらにしても、ゴーゴー君が元気なことはとても良いことです。皆さんのゴーゴー君も大切にしてあげてくださいね。ダイクマの周囲を爆走したときの僕がそうであったように、トンネルの坂道を下る時の僕がそうであるように。

(2005/7/11)

 

 

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