第10回 もっと縦に行っちゃってみる?

 

ひさびさに、やっちゃってみますよぉ〜♪

今回は、もっと縦に入れるライディングの説明をしたいと思います。最近いただいたメールによれば、「やっちゃってみる?」のライディングがある程度役に立った方もいるようなんですが、そんな中でも、どうもターンが前に伸びてしまい、目の前に切り立ったセクションがあっても縦に当て込みに行けない、といった声が聞かれました。

そこで、またまたゴーゴーの独断による解説で、一肌脱ぎたいと思います。良いですか〜?ノークレームノーリターンでお願いしますよ〜♪(これってヤフオク用語ですか?)

典型的な症状は、こんな感じじゃないでしょうか?トップで鋭いターンを入れるには、ある程度、ボトムからの強い飛び出しが必要!ってことで、ボトムで強いドライブターンを入れる、そうすると板は加速するんだけど、縦ではなく、どちらかというと前にビョーンと飛び出してしまう。実は、何を隠そう、僕もこの症状に相当長い間ハマった一人なのです。思ったように板が動いてくれないときって、すんごいストレスだったりしませんか?今日は、そのへんをですね、微力ながらゴーゴーが、軽〜く揉んでみたいと思います♪

僕なんかの場合は、こんなときに、もっと踏み込みを強くしてみたり、板の傾け具合を増して、もっと深くレールを入れるようにしたり、色々工夫したんですが、状況を打開するような決定打にはなりませんでした。腰を低く落としてレールの入れ具合を増すのは、ある程度効果がありますし、波のコンディションが良くフェイスが広い場合は、素晴らしいドライブターンをエンジョイできる事があります。それに、板にかけるプレッシャーを強めるのも有効で、ある程度の効果があります。ですが、特にセクションが変わりやすくフェイスが狭いジャンクな波なんかでは、もっと素早く動ける方法で、鋭角に当てに行く必要があると思います。

かつては、よく、近くにいるうまいサーファーが、ショボショボの波でもうまくセクションを見つけて当てに行っているのを見て、ナニが違うんだろ?と首をかしげたものでした。そんなうまいサーファーは確かにセクションまで板を運ぶテクニックも上手いんですが、きっとその頃の自分が同じように適当なセクションまで板を運ぶことができたとしても、当てに行くことはできなかったと思います。

昔、田舎の海なし県に住んでいた頃、2、3時間かけて海まで通っていたんですが、その田舎県の中でも特に田舎な、なぜここにサーフショップ?と思える明らかに無理のあるロケーションに店がありました。別にその店の常連ではなかったし、実際1回しか入ったことはないんですが、そのショップのオーナーとおぼしき兄ちゃんの言ってたことが、どうしても忘れられません。要約すると、

「どんなにクソ波の日でも、当ててるヤツは当ててるよ」

って話でした。そのことに当時すんごいショックを受けてしまい、以来そのことが頭を離れません。確かによく見ると、初心者がテイクオフもままならないような、ヨレヨレ、グチャグチャ、しかも超スモールの波でも、クローズ前にグワッと当ててる人は当ててます。波がダメなんじゃなくて、オレッチがダメダメだったんじゃん!と衝撃を受けたものでした。

言ってみれば、与えられたシチュエーションで最大の仕事をするサーフィンのスタイルにひどく感銘を受けてしまったのです。だから今でも風波、小波の湘南でハツラツとサーフィンを楽しめてるんだと思います。ここ湘南では、正直、ハワイやオーストラリアなどの波に恵まれた地域に暮らしている人達から見れば、波、とは呼べないようなコンディションの日が多くあります。それでも、やりようによっては楽しめるし、腰の位置を下げてガッチリ体重を乗せてみよう、とか、スタンスをクローズにしてみよう、とかいった、基本的な動作の反復は、割とヘナチョコの波でも訓練できたりします。もちろん、突然波のサイズが上がると普段のライディングで出来ていたスタンスをキープすることが難しくなり、そのギャップに苦しむことになるんですが、それでも何もしないよりはマシです。いずれにしても、生活の拠点を変更するなんて、そう簡単にできる事じゃないですし、今ある環境をエンジョイするスキルは大切だと思います。それに海なし県生まれの自分にしてみれば、海にアクセスできること自体、とてもハッピーなことであることに違いはありません。

板や波のせいにする前に、自分のライディングを見直してみるのも手なんじゃないだろうか?とつくづく思います。意外にも新境地が開けて、サーフィンがもっと楽しくなっちゃう可能性だって、ひょっとしたらあるかも知れません。しかも、タダですから♪

さてさて、本題に戻りますが、これから説明する方法は、単に数あるライディングスタイルの一つだと思ってもらいたいんです。今後も「やっちゃってみる?」でご紹介して行きますが、ターンのバリエーションは一つじゃないと思うんですね。だから、「こうしなきゃいけないんだ!」という偏見は持たないでください。サーファーの数ほどライディングのスタイルがあって良いと思うし、スタイルに縛られてサーフィンをエンジョイできなくなったらバカバカしくないですか?逆に誰も提唱していないスタイルを自分で見つけてみるのも面白いかも知れませんしね。

サッカーの世界で「ファンタジスタ」って言葉がありますよね?創造性あふれるプレーをする選手に与えられる称号のようなものですが、サーフィン界においてもタジ・バロウやミック・ファニングのように、クリエイティブなスタイルを持った人達がいます。そこまでは行かなくても、サーフィンの楽しみ方は自由であって良いような気がします。

以下に説明する方法は、ボトムに下りたとき、目の前に切り立ったセクションがあることを前提としてください。たぶん、切り立った掘れたセクションがない場所では、この方法は適さないと思います。

さ、前置きはこれくらいにして、と。

切り立ったセクションでトップに向けて鋭角に入れたいときに、特に注意して欲しいのは、ボトムで踏み込んだ前足を素早く引き上げる、ということです。引き上げる、ってどういうこと?って思いません?実は説明する方も、とっても難しいんですが、できるだけ噛み砕いて説明してみますね。

レールを入れる面積が大きければ大きいほど、板が波から受ける力は大きく、強いドライブが得られます。ですが、そのまま入れっぱなしにしちゃうと、板の持つアウトラインとロッカーが描いてくれる軌道以上に小さな回転半径で板を回すことは、とても難しくなります。強い飛び出しを得ることは、とても大切ですが、できれば、強い飛び出しを生かしながら、かつ、鋭い回転をかけたいものですよね。

棒状の長い物体を回転させるには、棒の両端を同じ力で押しても回りません。棒の片方を固定して、もう一方を押すか、あるいは、棒の両端をそれぞれ別の方向に押さなければなりません。サーフィンにおいても、これに似たような状態を作り出してあげれば良いわけです。

とは言っても、全くドライブをかけないで回転だけをかけようとしても、力のないヘナチョコターンになってしまう可能性が大だと思います。問題は、ボトムで得た強いドライブを、いかに殺さずに回転につなげて行くか、ということになると思います。

まずは、「やっちゃってみる?」第8回の要領で、ボトムで強い加速を得ます。軽くおさらいしますと、ボトムの最も深いポイントでヒザを深く曲げて重心を落とし込み、波へのプレスがマックスに達して板に反発が生じたら、足を伸ばす形でさらにプレスを強めます。こうすることで、波から最大限のパワーを引き出すことができると思います。第9回の要領で上体のリードを入れることも忘れないでください。

問題は、この直後です。強いパワーを得てボトムから飛び出すことに成功したら、今度はすかさず前足を波のトップに向けて一気に引き上げます。繰り返しになりますが、この動作を行うためには、当て込みに適した切り立ったセクションが目の前にあることが絶対条件です。またこの動作に入る前に、ボトムで強いドライブをかけていることも重要です。当て込みに行くのに不適切なポジションから、レールも入れずに前足を振り上げても、板はちっとも言うことを聞いてくれません。

「前足を引き上げる」と聞くと、「そんなことしたら、前足の裏がデッキから剥がれちゃうじゃない!」と思う人もいるかも知れません。ところが、不思議なことに、デッキは足の裏にくっついて一緒に上がってくるのです。要領としては、板を波に噛ませる -> ボトムで板と波にプレスをかける -> 跳ね返って来る板のパワーとスピードを殺さないように、前足への荷重を負圧にするようなイメージで振り上げる、といった感じです。

このとき、反発で飛び出そうとする板の前側に、どっしりと構えてしまって、上がってこようとするノーズを前足で抑えつけてしまわないようにしてください。棒の例でも説明したように、回転しようとする物体の一端を抑えつけてしまうと、物体はうまく回転できません。鋭い回転を引き出そうとする場合、板に十分な飛び出しの力が生じたら、もうそれ以上プレスをかけ続ける必要はなく、逆に開放してあげなければなりません。このタイミングは、ほんの一瞬ですから、最初は難しいかも知れません。何度も反復して身体に染みこませてください。

「足の裏から剥がれないデッキ」のタネ明かしは、こうです。

前足を引き上げると、自然と重心が後ろに移動して、後ろ足に大きな荷重がかかります。サーフボードのロッカーによって、後方への荷重が増すと、逆にノーズは上がります。さらに、テールへの荷重が増すことで、テール側のレールが強く反応し、テールを起点としたピボット状の回転が発生します。これもまた一気に方向を転換するためには、とても有効ですし、もちろん、「剥がれないデッキ」の一因でもあります。

この重心の移動は、陸上でシミュレーションしても体感できますから、ぜひ、やってみてください。まず、地上でライディングのスタンスを取ります。その状態から波のトップへノーズを振り上げるイメージで前足を上に振り上げてみてください。どうでしょう?自然と後ろ足に荷重がかかりませんか?

もちろん、これだけでは不十分で、第8回で説明した要領でボトムからの飛び出し力を得て、さらにそれを助長すべく、うまく前足をリードしてあげることも大切です。

ここまでの説明で分かっていただけたと思うんですが、決して前足を上にあげると、黙って板がくっついてくるわけではなくて、色んな力やバランスがうまく合わさってこんな動作が可能になる、ってことなんですね。

ただし、ターンの前半から後半までを全てテール荷重で行っちゃうと、板が波から受けるパワーが小さく、トップへの飛びだしが非常に弱くなってしまいます。テールへの荷重だけでは、力的には全然不十分なので、ボトムターンの前半から中盤にかけては、しっかりと前側のレールを使って板のボトム面にがっちりと波のパワーを受け止めるようにした方がベターだと思います。そこから、その力を一気に上方向に転換してあげたいわけなんですが、まずはドライブターンありき、といった感じでしょうか?

先ほどの陸上のシミュレーションを、もう一度やっていただきたいんですが、今度は、次の2つの方法を試してみてください。

1.前足を振り上げる前に、一瞬グッと重心を落として、その反動で一気に振り上げる。

2.一切反動を付けないで前足を力で振り上げる。

どうでしょう?ターンの前半ではグッと沈み込んで、波からの力を得た上で一気に振り上げる方が、はるかにパワフルでスピーディーなトップアクションに持って行ける気がしませんか?やっぱり、レールをしっかりと使ったドライブターンっていうのが、とっても重要なんだと思います。

この動作を行うとき、後ろ足への荷重は、あくまで、ボトムでグッと腰を沈めることで生じる荷重と、前足のリードによって自然と重心がテール側に移行することで生じる程度の加圧にとどめて、意図的に強く後ろ足を蹴ったりはしない方がベターだと思います。もちろん、ボトムから飛び出す過程で、後ろ足もある程度は自然と動いてしまうものですし、ドライブをかけるためにはある程度のプレスを波に与えてあげることが有効なんですが、意図的に強く蹴りこんだりしてしまうと、ヒザが伸びる動作を伴って重心も高くなり、不安定になる可能性がありますし、ピボット状の回転の軸をしっかりとテール側に作り出すことができなくなる可能性もあります。それに、ヘタをするとテールを蹴りこんだことで、噛んでいたレールが一気に外れてしまうこともあります。

蹴り込むと、逆にレールの刺さり具合は増すんじゃないだろうか?と思う人もいるかも知れません。それに、棒の例にもあったように、棒の反対側を逆方向に押せば、回転力は増すんじゃないだろうか?という疑問も、自然と出てくるかも知れません。

実は、これについては、実験君のゴーゴーが既にトライしていまして、ちょっと説明したいと思います。

究極にえぐれたセクションで超鋭角に入れたい場合なんかは、特に意識しなくても自然にテールを強く蹴りこんでしまっていることがあって、それはそれで、蹴り込んだテールがえぐれたボトムにがっちり突き刺さって、グワッと一気に板の向きを変えてくれるので、実はとっても有効です。ですが、これは、そんなセクションに出くわしたときに自然となっちゃうことなんで、特に意識して蹴りこもうとしなくても良いと思います。むしろ、意識してテールを蹴りこもうとすると、力んでしまって、ぎこちないライディングになってしまうことの方が心配です。

なので、上の例は、とりあえずここでは例外として考えたいと思います。

一方、さほどえぐれていない波や、えぐれ具合が究極でない、いわゆる普通の切り立った波では、テールを強く蹴りこむと、後ろ足部分のレールがスコーンと波から外れてしまい、ワイプアウトしちゃうことが実は案外多いのです。

ゴーゴーの場合、そんなことを何度か繰り返したあげく、掘れ方が究極でないセクションでテールを蹴り込むことはやめたんですが、後になって、その原因が分かってきました。

小波用の幅広でボキシーの板をオーバーヘッドで乗ってみたときのことでした。よく掘れたセクションで深いボトムターンに入ると、特に蹴り込んでもいないのに、ググッと荷重をかけだけで、レールがスポッと外れて、板ごと波にまくられてしまうのです。

結局、板の幅が広いので、波と接してるレールから荷重がかかっている足(板のセンター)までの距離が遠すぎるんですね。でもって、ここに強い荷重がかかると、板を噛ませる方ではなく、寝かせる方に強い力がかかっちゃうんですね。

後ろ足を強く蹴り込む場合も同じで、そもそもトップからボトムへ板が下りてくるだけである程度の速度がついているところへ、さらに上に乗っている人間が重心をさげて下へのプレスを増加させているわけですから、それだけでも相当なプレッシャーです。でもってターンの後半で自然と重心がテール寄りに移行すれば、さらにテールへの荷重が増します。ここへ蹴りなど入れようものなら、レールが外れてしまうのも、ごくごく自然なのかも知れません。

なので、後ろ足は、特に意識して蹴りこんだりせずに、ターンの後半で前足をリードしたときに、自然とテールが反応してくる程度で十分だと思います。もちろん、無意識に動いてしまう範囲の動きは、オッケーだと思います。第8回にあるように、ある程度は足を伸ばし方向にプッシュすることで、良好なドライブが得られるんですが、これは前足を中心と動きにとどめた方がベターだと思います。「蹴りこむ」のはシチュエーションに応じて、という程度に考えた方が良いような気がします。

さあ、一連の動きについて、おさらいしてみましょう。

1.レールを入れながらボトムへ下りていきます。早い段階でレールを徐々に入れていくのは、ボトムで受け止める水の量と波から得られるパワーを最大にするためです。

2.ボトムでヒザを深く曲げ、腰の位置を下げて波に圧力をかけます。

3.トランポリンの要領(第8回参照)で、足を伸ばす方向に動かして、さらに板へのプレスを高めます。

4.マックスの飛び出しパワーが得られた時点で、前足を引き抜く感じで振り上げます。たぶん、このとき、ヒザをある程度たたむような感じになると思います。それから、足を上げる代わりに、頭の位置は普通のライディング時よりも下にさがるようなスタイルになると思います。

この動作を、もっと単純化してみましょう。

1.レールを入れながら下りていく。

2.ボトムでグッと沈める。(ヒザを曲げる、おしりを下げる、など自分のやりやすいイメージなら、何でもオッケーです)

3.ボトムでググッと押しつける。

4.飛び出したら、すかさず前足を引き上げる。

ま、言ってみれば、沈める -> おさえる -> 引っこ抜く、ってなカンジでしょうか?もちろん、レールを入れる動作も忘れずにやっちゃってくださいね。

いかがでしたか?なんとなく、分かっていただけたでしょうか?

「言うはやすし、行うは難し」ですね。でも、「案ずるより、産むがやすし」とも言いますから、ま、難しく考えないで産んじゃってください♪

2005.4.22 ゴーゴー

 

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