第11回 横に行けない人のために

 

このHPをスタートしてから、多くの方からメールをいただきました。直接お会いした方も何人かいらっしゃいます。そんな中で感じるのは、サーフィンについて話すことの難しさです。ある人からは第6回第7回にある深くボトムに下りるアプローチが参考になったと聞き、別の人からは、横に行けなくて壁にぶち当たっていると聞きます。横に行けない人や、しっかりしたボトムターンができない人が、テイクオフしてからまっすぐボトムを目指しても、ますます壁が高くなってしまうだけです。

今回は、横に行けない人のために「やっちゃってみる?」を書きたいと思います。分かってる人にとっては、初歩的な説明になっちゃうので、読み飛ばしてください。

1.早い段階で波を読んじゃってください

横に行くためには、横に行ける波を見極めることが大切です。「横」と言っても、左右どちらでも良いわけではなく、レギュラー方向に崩れる波ならレギュラー方向に、グーフィー方向に崩れる波ならグーフィー方向に走るのがベターです。その判断は、早ければ早いほど有利で、その後のライディングにゆとりができます。たまに、崩れてくるピークに向かって突っ込んで行く人を見ますが、できれば波が崩れる方向に沿って、フェイスを長く乗り継ぎたいものです。

遠くから入ってくるうねりをよく観察すれば、ほとんどの場合、岸に向かってパドルを開始する前に、自分がレギュラーに行くべきかグーフィーに行くべきかは、判断ができます。この段階でブレイクの方向を予測できない人の中には、波を、まっすぐ接近してくる「壁」として認識してしまっている人もいるんじゃないでしょうか?

波は人間の大きさと比べるとかなり大きいので、目の前の狭い範囲だけを見ると、ただのまっすぐな壁に見えたりします。ですが、まだうねりが遠くにある段階から、広い範囲を観察すると、決して左右同じ高さの壁が接近してくるわけではなく、ある部分では深く掘れていてグッと高く盛り上がり、その両サイドでは傾斜が緩やかで徐々に海の水平面と同化して行っているのが分かると思います。

クローズでなければ、波には必ずピークがあります。三角形に盛り上がった波の頂点で、もっとも最初に崩れはじめるポイントがピークです。ピークは1個のときもありますし、複数の場合もあります。また必ずしも三角形の中心にあるとは限らず、どちらかのサイドに寄っていることも多くあります。

岸から海を眺めれば、平べったい巨大な三角形の最も高い部分からブレイクが始まり、白いスープが左右に広がっていく様子がはっきりと分かり、ピークがどこで、どんな風にブレイクしているかは一目瞭然ですが、海からでは、陸上から観察するときほど容易には分かりません。

注意して観察すべきポイントはいくつかあります。

●うねりを遠くから観察して、全体の形を把握してください。
●自分の正面や、一点だけでなく、全体をまんべんなく見渡してください。
●普通は、次のようなポイントが最も最初に崩れはじめます。

  • 高さが最も高い部分
  • ヒラヒラと薄くなっている部分
  • ボトムが最も深く掘れている部分
  • ボトムからトップに向けての水の吸い上げ量が激しい部分

ピークさえ発見できれば、ブレイクの方向を見極めるのは容易です。上に書いたように、今にもブレイクしそうなポイントには特徴があります。逆に、低く、ぶ厚く、傾斜がなだらかで、ボトムからトップに向けて全く水を巻き上げていないポイントはブレイクしにくい部分ですから、両者を比較すれば、どこからどこに向けてブレイクしていくのかが分かります。

少なくとも、接近してくる波のどこにピークがあるのか(自分より右側にあるのか、正面にあるのか、左側にあるのか)は、岸に向かってパドルを開始する前に見極めてください。いったんパドルを開始すれば、あとは首を後方にひねって確認するしかなくなります。それでもパドルしながら右後方、左後方と交互に確認すればどの方向にブレイクしてくるかは分かりますが、判断は早いに越したことはありませんし、横に行くのが難しいという人の中には、なかなか左右を広く見渡しながらパドルする余裕がない人もいると思います。

これは決して、一度走って行く方向を決めたら前だけ向いてパドルしても良い、ってことじゃないんで、誤解しないでくださいね。できることならパドルしながらも首をひねって後方の波との距離を測った方がベターですし、前乗りしないように良く周囲を確認することも大切です。波がすぐ後方まで接近してきたら、今度は横を見て、走って行こうとするフェイスの切り立ち具合やブレイクのスピードを、テイクオフ前に確認しなければなりません。

2.波のブレイク方向に合わせてパドルする

ボトムターンをマスターしているサーファーの場合、岸に向かってまっすぐパドルしても鋭いボトムターンで一気にトップに帰ってくることができますが、鋭いボトムターンを入れられない人がボトムにまっすぐ下りていっても、おそらくボトムで撃沈してしまうだけです。

そんな人は、いきなりボトムに下りようとはしないで、飛び出しから斜めに出て行くようにしてみてください。そうすれば、ハードなターンをメイクしなくても横に乗り継ぐことができます。要領としては、こんな感じです。

最初からある程度ブレイクの進行方向にノーズを向けて、斜めにパドルを開始します。そうすれば、走り出した後に板がボトムに向けて一気に落ち込んでしまうことはなく、張り出したフェイスの向こうにある遠くのボトムを目指して滑り出します。そのままテイクオフすれば、比較的イージーなレールワークでも失速することなく長く横に走って行けると思います。

このとき、どのくらいノーズを斜めに向けたら良いかは、トライアンドエラーを繰り返して自分で習得するしかありません。波は全て形が異なりますから、このくらい、という決まりのようなものはありません。ただ、目安として、波のブレイクのスピードが遅いときは、比較的岸寄りに向けてパドルしても立ってから十分横に走っていけます。逆にブレイクのスピードが速いときは、より遠くのボトムを目指す方向で斜めにパドルしないと、テイクオフしてからブレイクに置いて行かれてしまいます。ただし、波に対してあまり横に向きすぎると、板のボトム面が波のパワーを十分に受け止めることができなくなり、板が走らなくなります。このあたりのことを注意しながら、チャレンジしてみてください。

サーフィンをやっていると、誰でも、いくつかのミラクルを体験すると思います。初めて波を捕まえられたとき、初めて板の上に立ったとき、初めてロングライドを決めたとき、初めて伸びのあるドライブターンを決めたとき、初めて板が鋭角に入ったとき、デカい波のトップからドロップを決めたとき、などなど、陸上の生活の中ではとても感じることのできない、思わず叫び出したくなるような恍惚を味わった人も多くいると思います。

横に行く、ということもサーフィンの楽しみを大きく広げる要素の一つですから、がんばって取り組んじゃって欲しいと思います。もちろん、横に行けたら行けたで、ライン取りやレールトゥレールの動きなど、また新たな問題が出現するんですが、乗り越える壁の数だけ、楽しみも多いってことだと思います。

一度開けたら止まらない!プリングルスのようなスポーツ。それが、サーフィンなのだ!と思うのは、ボクだけ?

2005.5.2 ゴーゴー

 

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