第13回 スタンスを矯正しよう 実行編

 

前回の更新から、ずいぶん時間が経ってしまいました。前置きはなしにして、いきなり本題に入ります。(前置きが必要な方は、第12回をご覧ください)

まず、前足を板のセンターにバシッとセットする方法です。とりあえず、ちゃちゃっと板のワックスを落としちゃってください。それから、カラーテープのような目立つものを板のノーズとテールの中心点に貼ります。目印は、一箇所だけでなく、二箇所貼ってください。センターと、センターから10cmくらい前が良いと思います。二箇所貼る理由は、中心点だけだと、足がバッチリ板の中心に乗ったときに、目印が隠れてしまい、前足が中心点に乗っているのか、中心より前に乗ってしまっているのかが分からなくなるためです。なので、中心より少し前にもう一個セットすることで、確実に位置を確認できるわけです。貼り終わったらその上からワックスを塗ります。

あとは、ただひたすら、テイクオフ時に前足をセンターにセットするよう、反復練習あるのみです。

前もって言っておきますが、周囲を広く確認しなければならないテイクオフのときに足元を見るなんて、ライディングのためには絶対に良くありません。普通は進行方向を見るのがセオリーですし、まして、混んでいるポイントやブレイクの早いポイントで足元を見るのは、危険ですらあります。ですから、ご自身の責任で、絶対に安全だと確信できるシチュエーションでのみ、この方法をトライするようにしてください。

しかしながら、このようなリスクを伴っても、この方法はスタンスの矯正のためには絶大な効果があります。足の位置を感覚でなく、実際に目で確認できるので、確実にスタンスを矯正できます。これまで感覚だけに頼ってテイクオフしていた人の中には、自分が普段セットしていた足の位置の甘さに驚かれる方もいるんじゃないでしょうか?

これは実際にあったことですが、これまでに、僕が「非常にクィックに回転する」と感じた板に別の人が乗って、「ターンが前に伸びる」という感想を持ったことがあったのです。全く同じ板に対して、ここまで違った印象を持つことが、実際にあるわけですから、スタンスやその他の乗り手に関するファクターが、板のポテンシャルを引き出す上で、いかに大きなウェイトを占めているかが分かります。

話を戻しますが、センターというのは、あくまで目安にすぎません。板によってはバランス点がずれることは多々あります。ですが、もし自分の足の位置に自信が無い場合は、とりあえずは、センターに置くように修正し、その後、板のバランスを考慮して調整すると良いと思います。ラウンドノーズなどの極端な形状の板でなければ、ほとんどの場合、文字通り数字上のセンターに前足を置くことで、かなり調子良く乗れるはずです。

これまでかなり前方でスタンスを取っていた方が前足を文字通りのセンターにセットすると、フラフラしてスタビリティーが足りないと感じたり、ノーズが浮いてしまったりすることがあるかも知れません。ですが、そんなことがあっても、スタンスを以前のように戻したりはせず、そのままの足の位置で、できるだけ荷重を前足に強くかけるようにしてみてください。乗り位置が後方に移動しても、前側のレールを十分に深く差し込めるだけの強い前荷重が可能であることが分かっていただけると思います。

このように前足への荷重を強めると、今度はパーリングしてしまうという方もいるかも知れません。そういった場合は、今度は腰、またはおしりの位置を低く下げて乗るようにしてみてください。腰の位置が高いまま前足に全重心を乗せようとすると、波のフェイスを下るボードには強い傾斜が付いているので、実際には前足部分よりも、もっと前に荷重がかかってしまい、ちょっとしたバンプでもコケてしまったり、予想外に掘れたセクションが出現すると刺さってしまったりすることがあります。腰の位置を低くセットして、低い位置から前足に荷重をかければ、多少フェイスの傾斜がきつくても簡単に刺さったりしません。

次に、後ろ足の矯正方法をご紹介したいと思います。これによって、スタンスが狭くなりすぎたり、広くなりすぎたりすることを防ぐことがでいます。

基本は先ほどと同じです。まずは前足を適切な位置にセットします。次に、片ヒザをつくようなイメージで、一度後ろ足のヒザから足先までを板の上に寝せるようにしてから立ち上がります。いきなり両足をペタっとデッキに乗せるんじゃなくて、前足は足の裏をセンターに、後ろ足はヒザを折って低く立ち上がる感じです。

この方法は、重心の低いテイクオフのためにも有効ですし、まず真っ先に前足を所定の位置に乗せることに専念できるというメリットもあります。そして何より、狭すぎず広すぎず、ほど良いスタンス幅を自然と取ることができるというメリットがあります。陸上でも体感できますが、片ヒザの姿勢を取るためには、両足の幅が狭すぎても広すぎてもやりにくいのです。

それから、先ほど板の上に「立つ」という表現を使いましたが、実際のテイクオフ時には「立つ」という概念は捨てた方が良いと思います。もちろん、言葉上はどうしても「立つ」という表現になってしまうんですが、イメージ上では、板の上に「しゃがむ」くらいの感じで良いんじゃないでしょうか?ようは、プッシュアップによって、上体と板との間にクリアランスを作り出し、そこに足を滑り込ませる、といった感じでしょうか?

実際にテイクオフ時に立ち上がってしまうと、ボトムに到達するまでの傾斜のきついフェイスを下っていく最中にしゃがみ込まなければならず、動作の落差が大きくなり過ぎますし、バランスを崩しやすくなると思います。ですから、低空テイクオフで低くスムーズに行きたいものです。

上記の方法でも、スタンスが広くなり過ぎてしまう方:

クローズスタンスを意識して、両ヒザを寄せるようなイメージで行くと良いと思います。両足を乗せる位置の幅を狭く取ろうとするより、両足を内股にしてハの字っぽくして、ヒザとヒザを近付けるようなイメージの方が、結果的にタイトなスタンスを取れると思います。ヒザを近付けると言っても、両ヒザをピタッとくっつける必要はありません。というか、腰の位置を低くして、上体を前に向けると、前ヒザがやや高い位置に、後ろヒザがやや低い位置に、といった具合で前後のヒザの高さが必然的に違ってきます。ですから、どんなにタイトなクローズスタンスを取ろうとしても、両ヒザがピタッとくっつく、というわけにはなかなか行かないように思います。

スタンスが狭くなり過ぎてしまう方:

片ヒザをついたときに、後ろ足をテール方向にずらし、足の裏でデッキパッドのテールブロックの盛り上がりを探してください。足の裏がデッキパッドのテールブロックにペタっと触ったら立つようにします。先ほども書いたように、片ヒザというのはイメージであって、完全にヒザがデッキに付いている必要はありません。後ろ足のヒザが多少デッキから浮いている状態でも、すり足っぽい感じで足の裏の感触を確かめながら低く移動する感じで良いと思います。

ここで注意していただきたいことがあります。ライディング中は、常に後ろ足がテールブロックに触れている必要は全くありません。鋭いターンを入れるときは最後部に、タルいセクションでポンピングするときは、やや前に、と言う風に、可能でしたら後ろ足は移動するのがベターかと思います。ですから、この方法は、あくまで足の位置を矯正するための手段と考えてください。ある程度スタンスが矯正されたら、テイクオフ時に後ろ足がテールブロックに触れていることを意識する必要はなくなります。

前回に引き続き、くどいようですが、スタンスの修正は板を買い換える以上の効果があります。しかも、タダです。矯正に成功すると、その後のサーフィンライフを通じてずっと役に立ちます。実際のところ、スタンスの矯正は極めて地味な作業で、人によってはあまり楽しく感じられないかも知れません。ですが、この問題をクリアしないで、いきなり角度のあるボトムターンやトップでの素早いスナップに持って行こうとするのは、ほとんど無理だと思います。100%無理だとは断言できませんが、せいぜい、運良くとても形の良いセクションに巡り会ったときだけ、かろうじて、なんちゃってリッピングが成功する程度ではないでしょうか?なので、まずはスタンスをバシッと決めて、マッシーなセクションでは大きめのカービングで、掘れたセクションでは縦に、といった具合に、自分の意志でカーブの大きさをコントロールできる位置に基本の重心をセットしましょう!

2005.7.15 ゴーゴー

 

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